半導体内部の配線は、先端LSI製品には電気抵抗が低い銅線が利用されるが、一般的にはアルミニウム線が用いられる。
薄膜内に電気が流れると、電子とアルミニウム原子の衝突により運動量移転で電子の流れる方向にアルミニウム原子が少しずつ拡散していき、陰極側にボイド、陽極側にヒロックやウイスカを形成する。
アルミニウム配線にボイドが発生し、さらに大電流が継続して流れると断線に至ってしまう。また、半導体の端子間においては、これとは逆にウイスカによって 端子間が短絡することがある。
薄膜におけるエレクトロマイグレーション寿命は、一般に平均寿命MTTF(平均故障時間)で表現されており、次のような関係が成り立つ。
ここで、Jは電流密度、nは電流密度に関する定数、Eaは活性化エネルギー、Tは絶対温度、kはボルツマン定数、Aは配線の材質・構造・寸法などに関する係数である。
この関係式より、電流密度あるいは温度が低いほど平均寿命が長くなることがわかる。また、寿命分布はばらつきの小さい対数正規分布に従う。