目次 †
カウンセリング †
- カウンセリングの定義は難しい。「心理治療と同一のことである」とされることもあれば、「対話または言語を手段とする心理治療」や「助言・情報提供を通じて本人が悩みを解消する援助をすること」などと定義されることもある。すべてに共通する意識は、クライアントの話を徹底的に聞くという心構えである。そのため、カウンセリングではクライアントを理解することにエネルギーの80%を使い、残りの20%を治療(援助)に使うといわれる。
- 精神に異常をきたしているわけではないが、様々な心の問題を抱えている困っている人々の相談にのり、その問題解決に協力する活動のこと。
- 普通精神に異常を持つ人々を治療するのは、医師免許を持つ精神科医であるが、カウンセリングをするのは臨床心理学を学んだカウンセラーである。
- 登校拒否や社内ストレスをかかえる人々がクライエント(来訪者)となる。
- 精神医療と重なる部分も多く、また理論的にも精神医学(特に精神分析)に影響を受けた。
- 患者自身が問題点に気付き、自分で解決策を見出していく。
- 治療者はそのための手伝いをするのが役目であり、主役はあくまで患者である。
- 患者の中にはカウンセリングを受けた後に、「何もアドバイスしてもらえなかった」と不満や物足りなさを覚える人もいる。そうした印象を持つ人の多くは、カウンセリングを身の上相談と同じようなものと捉えている。
- しかし、心療内科で行われるカウンセリングは、回答を出してくれる身の上相談とは基本的に異なるものである。
援助 †
心理療法とは心理学に基づいてクライアント(悩んでいる人)を援助することである。ほとんどの理論では、カウンセラーはクライアントが自分で解決することが最善だとしている。カウンセラーの立場は、それを共に考えながら援助することである。つまり、カウンセリングとは、クライアントに対話を中心にして働きかける、心理学的かつ専門的援助の過程といえる。
援助するための大前提 †
援助するためには3つの大前提が重要である。
- クライアントが「何を言っているのか」ではなく「何を言わんとしているか」を理解できなければならない。
- コミュニケーションには内容とプロセスという2つの側面があり、それらを総合してこそ理解が進んでいくということ。
- 人を理解する場合、部分だけ理解しても役に立たない。その周辺の状況まで含めて考えなければ、その人の問題を理解したことにはならないということ。
カウンセリング理論 †
現在、カウンセリングの心理療法は200を越える理論と方法があるといわれている。どれも様々な文化的・社会的な背景を持っており、多くを知ることは実勢に活かせる幅が広がることに繋がる。
カウンセリング理論を大別すると次の2つがある。
- クライアントを理解するための理論
- パーソナリティ論、即ち性格形成に関する考え方は、その人の問題・症状を理解する手立てになる。
- 同時に病理論も必要とする。クライアントの悩みや問題がどのような理由・状況で起こってくるのかを知っておかなければならない。
- カウンセリングの方法論(アプローチ理論)
- カウンセリングには問題や悩みを解決したり、パーソナリティの成長を手助けしたりする方法論が必要である。
代表的な心理療法 †
1対1の療法 †
集団療法 †
- エンカウンターグループ
- グループカウンセリング
- サイコドラマ
- トレーニンググループ(Tグループ)
- ピアカウンセリング
カウンセラーに向いている人 †
- 相手に共感できる人
- 温かい人
- 純粋な人
- 知識欲のある人
- 自分の価値を見出せる人
- 自分を分析できる人
- 言行を一致できる人
- 社会と連携していける人
カウンセリングにおける椅子の位置 †
相談場面では机の角を挟んだ位置関係が理想的である。しかもクライアントはカウンセラーの左側に位置するほうが良い。カウンセラーは必要な場合はクライアントの顔色を見ることもできるし、視線をかわすことによる不必要な心理的圧迫感をクライアントに与えないという位置関係でもある。
参考文献 †
- 『心理カウンセラーをめざす人の本』
- 『はじめての看護理論』
- 『専門医がやさしく教える自律神経失調症』