目次 †
ガラス †
- BC5000年頃の古代エジプトでは、砂と炭酸ナトリウムや石灰岩を混合して溶解した後冷却して、ガラスを製造して、容器などに用いてきた。
- 初期のガラスは不透明だったが、やがて透明なガラスが製造できるようになった。
- ローマ時代には透明なガラスが量産されるようになっていた。
- 高温溶融物の過冷却状態の固定。
- 一定の融点を示さない。
- 原料はSiO2を母体として、その他にNa,K(1A族元素),Mg,Ca(2A族元素),Al(3B族元素)の炭酸塩や酸化物が用いられ、これらを適当に配分して1,000〜1,400℃に加熱融解するとガラスになる。
- ガラスは鉄・コンクリートと並び近代建築の三大材料のひとつである。
- 我々が一番よく利用しているガラスはケイ酸塩を主な原料にした、ケイ酸塩ガラスである。
ガラスの歴史 †
- 紀元前3000年頃に、中東のある国で、湖の砂浜で焚火をしていた人々は、見慣れない水のようなものが焚火の中から流れ出しているのに気付いた。火が消えた後も、それはきらきらと輝いており、透き通った小さな塊になって残った。
- 水が蒸発してできたソーダと白い砂が、焚火の熱により、偶然融けあった結果、ガラスが生成されたのである。
- メソポタミアやエジプトでもガラスが発見され、簡単なガラス玉、ガラス棒を作り始めた。
- 紀元前1500年頃に、ガラスで飾り・腕輪・器を作った。
- 紀元前1世紀頃に、シリアのフェニキア人が吹きガラス法を発明した。
- 吹き竿【ふきさお】の先に溶けたガラスを付けて、ガラスが柔らかいうちに息を吹き込んで膨らませる。これでどんな形のものでも簡単にすばやくできるようになった。
- イタリアのベズビオ火山の噴火（79年）で埋もれたポンペイの町の中央広場にあった浴場では、ガラスを使って明かりを取り入れていた。
- この窓ガラスは、小さなガラスのかけらを繋ぎ合わせたり、平らな石の上に溶けたガラスを流したりして作られた。
- ガラスを窓や明かり取りに使えたらと考えたはずだが、平らなガラスを作るのは器を作るよりもずっと難しく、ようやくその方法が確立するのが7世紀になってからであった。
- 1世紀頃、ガラス棒を溶かしたレンズが作られた。
- 7世紀に、シリアで窓ガラスのような平らなガラスを効率的に作る方法が発明された。
- 吹きガラス法で作った、お椀のようなガラスの底に、鉄の棒を付けて、もう一度温めて、柔らかくしてから、棒をぐるぐると勢いよく回す。すると遠心力によりお椀のふちが段々と広がって、ガラスの板になっていく。
- この方法でようやく平らで大きな、そして薄いガラスができるようになった。
- 12世紀頃から、ヨーロッパの教会でステンドグラスがさかんに使われるようになった。
- 12世紀には、ヨーロッパで円筒法という板ガラスの作り方が発明される。
- 15世紀に、イタリアのベニスでほぼ透明なガラスができるようになると、それを利用してよく見えるレンズが作られ、望遠鏡や顕微鏡が発明された*1。
- 1861年に、ベルギーのソルベーが、アンモニアと食塩水と炭酸ガスからソーダを作る方法を発見した。
- これまでは木や海草の灰からソーダを作っていたが、このソーダの方法により、効率的にガラスが作れるようになった。
- 1871年に、ドイツのシーメンスが木炭の代わりに石炭でガラスを溶かす炉を考案した。
- たくさんのガラスがこれまでよりもずっと高い温度で、溶かせるようになったのである。
- 19世紀にはガラス作りが盛んになり、建物にもたくさんのガラスが利用され始めた。
ガラスの分類 †
素材による分類 †
- ケイ酸塩を主な原料とするケイ酸塩ガラスは、普通ケイ酸塩以外に混ぜられている原料の名前を付けて呼ばれている。
ソーダ石灰ガラス †
- ケイ酸塩とソーダ石灰を混ぜたガラス。
- いちばん身近なガラス。
- コップ、瓶に利用されている。
鉛ガラス †
- 酸化鉛を混ぜたケイ酸塩ガラス。
- 比重が大きく、よく光を屈折させるガラス。
- レンズやプリズムなどの光学用のガラスである。
バリウムガラス †
- 石灰の代わりに酸化バリウムを混ぜたケイ酸塩ガラス。
- 光をよく屈折されるガラス。
- レンズによく利用される。
ホウケイ酸ガラス †
- ホウケイ酸を使ったケイ酸塩ガラス。
- 硬くて、熱に強く、化学薬品にも強い。
- 化学実験器具、電球などに利用される。
アルミナケイ酸ガラス †
- アルミナなどを混ぜたケイ酸塩ガラス。
- 化学薬品に強い。
- 科学実験器具や医療用の器具に利用されている。
石英ガラス †
- 石英を原料とするケイ酸塩ガラス。
- 熱による伸びや縮みが少なく、光をよく通す。
- レンズ、プリズム、化学実験器具、光ファイバーに利用されている。
用途による分類 †
強化ガラス †
- 表面に圧縮ひずみを入れて機械的強度を持たせたものである。
安全ガラス †
- 2枚の板ガラスを合成樹脂で接着したものである。
- これらは壊れても丸みを帯びた破片になったり、また破片が飛び散らないという長所を持つ。
機能性ガラス †
- 超イオン伝導ガラス
- 光ファイバー用ガラス
- 周波数の高い光を用いて、画像・文字・音声などを伝送できる。
生体用ガラス †
ガラス繊維 †
長繊維【ちょうせんい】 †
- 長さが長いガラス繊維。
- プラスチックと組み合わせてFRP（繊維強化プラスチック）として利用される。
- FRPはプラスチックの長所とガラス繊維の長所を活かした軽くて強い材料である。
- FRPは風呂の浴槽、モーターボート、ヨット、小型漁船、自動車の車体で使われている。
短繊維【たんせんい】 †
- 長さが短いガラス繊維。
- ガラスで作った綿菓子のようなもの。
- 断熱材、吸音材として使われる。
ガラスの利用場面 †
- ガラス玉
- まが玉やトンボ玉
- 日本の古代では、穴を開けて、紐を通して、装飾品として身に付けた。
- 瑪瑙【めのう】や翡翠など、自然の中で見つかる、きれいな石に交じって、ガラスのまが玉も作られていた。
- 碧【へき】
- 釧【くしろ】
- 仏舎利【ぶっしゃり】の入れ物
- 飛鳥時代には仏教が栄え、多くの寺や仏像が作られた。寺の塔の下には、仏舎利といって、御釈迦様の骨が収められている。この物資槍を入れる入れ物にもガラスが使われていた。
- 仏教で一番大切な物資槍の入れ物にガラスを使っていたことからも、この頃はガラスが大切で貴重品であったことがわかる。
- 切子【きりこ】
- 光ファイバー
- 棒高跳びのポール
- ガラス繊維で作られている。
- しなるガラス繊維のポールができてから、記録がぐんと伸びた。
- それまではポールには竹を使っていた。
参考文献 †
- 『新一般化学』
- 『安心の住まい学』
- 『現代の化学』
- 『「もの」と「ひと」シリーズ4 ガラス』
