目次 †
シャーマン †
- シャーマンとは、巫者【みしゃ】を意味するツングース系の言葉である。神や霊と直接対話することできる人のことである。巫女(女性の場合)、巫者、霊能者とも呼ばれる。シャーマンは現在でも各地で活躍しているが、そうした人々がとりわけ多く存在するのが沖縄である。
- シャーマンは一種の自己催眠により、自らをトランス状態に導き、神や精霊などと直接交流し、予言や治病を行う。
- シャーマンもトランスの後は、快い疲労感があるという。
- 始めはなかなかトランスに入れなかったシャーマンも、練習を積むことで簡単にトランス状態に入れるようになる。
シャーマンの類型 †
佐々木宏幹の学説によると、シャーマンの類型は2つに分類できる。
- 脱魂【がっこん】型
- シャーマンから魂が抜け出し、霊界を移動する。
- 日本では少ない。
- 憑霊【ひょうれい】型
- シャーマンに霊がとりつく。
- 日本に多い。
- さらに次のように分類できる。
- 憑入【ひょうにゅう】型:体内に霊が入り込んで語る。
- 憑感【ひょうかん】型:神霊の声を聞く、姿を見る。
イタコ †
・日本の東北地方特有のシャーマン。
・盲目の巫女。
・口寄せを行う。
口寄せとは、イタコが死者の霊を下ろして、死者の言葉を語ることである。長い数珠を操りながら祭文を唱え、依頼された死者の霊を降ろす。霊が降りると、一瞬ではあるが死者の言葉を伝える。しかし、そのときの言葉はある程度決まっており、決して恨みや未練を語ることはないといわれている。
・死者は死後100日以前のシンクチ(新口)と100日以上経過したフルクチ(古口)とにわかれるが、恐山のイタコはフルクチの口寄せのみを行っている。
・恐山(青森県むつ市田名部【たなべ】にある円通寺【えんつうじ】という曹洞宗寺院の奥之院【おくのいん】の通称)にいることで有名。
・イタコになる女性は、概ね12,3歳の頃に師匠の元に弟子入りして数年間の厳しい修行を積み、やがてイタコになるための資格試験を受ける。この試験に合格して始めて独立したイタコとして認められる。
・恐山の大祭に参加するイタコは、下北半島の者はほとんどいず、大半は南部や津軽地方のイタコたちである。下北半島のイタコは恐山への出張をタブーとしているからである。
ユタ †
- 沖縄ではシャーマンをユタと呼び、人々の生活に密着した存在となっている。
- 多くは中年以上の女性。
- 何らかの人生上の苦悩を体験するうちに神霊の声を聞いたり、姿を見ることができるようになったというパターンが多い。
- ユタになることを成巫【せいふ】というが、成巫の直前には心身の不調が続き(巫病【ふびょう】という)、この過程を経て次第に霊能が身に付くとされる。新米のユタの場合は、神霊と接触している間、あくびが出たり、吐き気がしたり、体がガタガタ震えたりといういわゆるトランス状態に陥るが、ベテランになるとトランス時の身体状況を自らコントロールできるようになる。
- 神霊は、ユタに乗り移り直接その口を借りて言葉を発することもあれば、周囲には聞こえないがユタには聞こえるという状態で託宣【たくせん】を行う場合もある。
- ユタのもとには多くの相談者が集まってくるが、この人々も中年以上の女性が多い。
- 1回の相談料の相場は\3,000〜5,000
- 複数のユタをはしごする相談者も少なくない。
参考文献 †
- 『図解雑学 こんなに面白い民俗学』
- 『説得の科学』