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牛

目次 †

牛 †

• 人間がまったく食べられない草を食べる。
  • これは牛の胃が4つにわかれていて、食べた物を何度も口に戻して噛む反芻によって、草を消化できるからである。そして、1番目の胃の中にはたくさんのバクテリアや微生物がいて、草の遷移を分解したりして消化を助けている。
  • 消化された草はやがて牛の乳や肉になり、それを人間が利用することになる。
    • つまり、人間は自分の食べられない草を、牛を使って食べられるものにしているのである。この点が穀物や魚粉など人間も食用にできるものを餌にしている豚や鶏と大きく違う。
• 牛は昔から家畜として飼われてきた。
  • 草が一年中あるところでは放し飼いにして、たくさんの数の牛を飼うことができた。
  • しかし、ヨーロッパのように寒いところでは、豚と同じで冬には餌が不足した。そのため、冬が来る前に肉にすることも多かった。
    • そうでなければ、ほし草を食べさせるわけであるが、これは栄養が少なく牛も余り食べたがらなかった。
    • ところが、19世紀にサイロが発明され、牛の餌の問題が解決した。こうして、ヨーロッパでも牛を1年中飼うことができるようになった。
• 牛乳にはとてもカルシウムあ多く含まれている。
  • 反対に、乳糖は人間の乳に比べて少ししか含まれていない。
    • そのため、牛を育てるにはよいが、生まれたばかりの人間の赤ちゃんにはそのまま与えることはよくない。粉ミルクは他の栄養分を加え、調整してあるのである。
• 去勢すると、角の芯が薄くなったり、成長しても骨の端の部分と幹の部分とが溶け合って一体化しない。
  • この特徴から、6,000〜7,000年前のドイツの石器時代には牛を去勢していたことがわかっている。
• ラスコーの壁画に描かれている牛はオーロックスという原牛である。
  • 1627年にポーランドで死んだ一頭を最後に絶滅してしまった。
• オーロックスは、現在の家畜牛の祖先である。
• 今では約14億頭もの牛が地球上で飼われている。

牛が家畜に向いていた理由 †

1. 繁殖をコントロールしやすい。
   • 繁殖が管理できなければ品種改良もできない。
   • チーターの家畜化が過去に失敗しているのは、繁殖しなかったからである。
2. ある程度人間に対して親和性があるから。
3. 利用価値が高い。
   • 肉だけでなく、乳も取れる。
   • 役用【やくよう】が可能な家畜は馬と牛だけである。

参考文献 †

• 『岩波ジュニア新書234　遺跡が語る日本人のくらし』
• 『人間の知恵25　家畜のはなし』
• 『なんて面白すぎる博物館』