植物や動物の新しい品種を作ることが人間にできるなら、自然にもきっとできるはずである。このような自然の働きは自然選択（自然淘汰）と呼ばれる。
ある系統の動物の化石を時間を追って調べ見ると、始めは小さなサイズのものから始まって、時代が進むにつれてサイズが大きくなっていく例が目に付く。これをコープの法則という。
[法則]コープの法則
同じ系統の中では、大きなサイズの種は進化の過程で、より遅れて出現する傾向がある。
[解説]残念ながら、現在の進化学ではこの定向進化説は受け入れていない。
[法則]島の法則
島に隔離されるとサイズの大きな動物は小さくなり、サイズの小さな動物は大きくなる。
島には捕食者がいなくなってしまい、ゾウは小さくなり、ネズミは大きくなる。
例：
18世紀には、ビュフォンが「地球は、聖書に書かれているよりも、はるかに古い」と主張した。彼は、「生物の形は何千年ものあいだに、ゆっくりと変化して来た。猿は、人間のみじめな子孫だ」とも述べた。このような考えは、ダーウィンとウォーレスが唱えた進化の理論を正しく述べたものではないが、しかし進化論の前触れとなっている。それは、デモクリトス、エンペドクスなどのイオニアの科学者たちの見解が、後世の科学理論の前触れとなったのと同じことである。
・マヤ族の聖典である『ポポル・ブー』によると、いろいろな生物は、神が人間を作ろうとして行った実験が失敗してできたものだという。初期の実験は成績が悪く、下等な動物ができた。最後から2つ目の実験は、もう少しで成功するところだったが、ちょっと失敗して猿ができた。
・中国の神話では、盤古という神様の体についていたシラミが人間になったとされている。
ポール・マックリーンの挑発的な説によれば、脳の高い機能は、3つの段階を経て進化してきたという。
脳幹を覆っているのはR領域と呼ばれる部分で、ここは攻撃、儀式、縄張り、社会階級などの座である。これは、数億年も前、つまり人間がまだ爬虫類だったころに発達した部分である。私たちの頭蓋骨の中の奥深いところには、ワニの脳と同じようなものがあるのだ。
R領域を取り巻いて、辺縁系【へんえんけい】と呼ばれる部分がある。これは哺乳類の脳である。今から数千年前、私たちの先祖が哺乳類ではあったが、しかしまだ霊長類にはなっていないというころに発達したものである。ここは、気分や感情、子供に対する心配や注意などの生じる部分である。
そして、一番外側に大脳皮質がある。それは、その下のもっと原始的な脳とあぶなっかしい休戦協定を結んで生きている。これは、数百年前、私たちの祖先が霊長類となってから発達した部分である。
大脳皮質の中の物質が意識を作り出すのだが、ここが脳の重量の3分の以上を占めていて、そこは直観と批判的分析との領域である。私たちの考えや霊感は、ここから生まれ、読んだり書いたりするのもここであり、数学や作曲もここで行う。大脳皮質は私たちの意識ある生活を調整しているのだ。それは、人間を他の動物から区別しているものであり、人間性の座である。文明とは大脳皮質の産物といえる。
