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水の確保

目次 †

水が必要な理由 †

• 水は酸素と共に、生物にとってもっとも重要な要素である。
• 人体の70〜80％は水でできており、命を維持するためのすべての新陳代謝は、各種の物質が溶けている水溶液の状態での科学的な反応を通じて行われる。
• 人体の中にある水分の量は約45リットル。そのうち約2.75リットルが毎日入れ替わっている。
  • 1.5リットルは飲料水、1リットルは食べ物から補い、0.25リットルは乾物から新陳代謝を通じて摂取している。
• 小便で排出される量は、一日に約1〜2リットル。
• 水や食べ物が供給されなければ、人体は脂肪を分解して1日約0.25リットルの水を自給する。
• しかし、それよりもっと多くの水分が呼吸と汗で排出される。
  • 何もせずにじっと横になっていても、排出される水分は1日少なくとも0.4リットルなので、単純にマイナスになるわけだ。

水分損失を防ぐ †

• 不要に体を動かして汗を流さない。汗を一滴流すたびに、生存期間が1分短くなると思うこと。
• 太陽に直接当たらない。
• 食事はできるだけ少なくする。食べ物の消化には多くの量の水分が必要だからだ。
• 口を閉じて鼻で呼吸する。そうしないと水分が多く抜け出てしまう。
  • 夜、口を開けて寝る人は生存期間がそれだけ短くなる。前もって練習しておこう。
• 気温が高いときは地面に寝そべらない。地面の温度は、気温より最高で15度高いことさえある。
• 太陽や風に皮膚を露出させず、暑くても服を着て過ごす。水分の蒸発を押さえるためである。
• 喉が渇いたら水を惜しまずに飲み、渇きが完全に解消されるまで十分に飲むこと。そうしてこそ最小限の身体機能を維持できる。
• 昼間は日陰で休み、移動は夜間や夜明けにする。普段夜行性の人は有利である。

水の汚染度のチェック †

　生水はたとえ井戸から汲み上げたものであっても、チェックしないうちは消毒なしで飲んではいけない。どんな細菌が含まれているかわからないし、戦場なら敵が毒物を混入している危険性すらある。チェックが済んでも、一気に飲まずに、口の中で味を確かめる必要もある。

　これは雨水にもいえる。絶対に沸騰させたり消毒しなければならない。雨水には大気中のバクテリアが含まれており、特にジャングル地帯では危険である。雨は高く繁った密林を通して地上に落ちてくる。その際に、木や葉に付着したバクテリアなども洗い流し一緒に運んでくるからだ。

　水質調査の講座も参考にするとよいだろう。

生物利用 †

　人間にとっても水は必須だが、生物にとっても水が欠かせない。つまり、生物のいるところに水有りといえる。

CODによる汚染度識別 †

亜硝酸性窒素による汚染度識別 †

ろ過 †

　泥水や川の水を濾過【ろか】して、飲み水を得ることができる。

蒸留 †

やかんの水蒸気から飲み水を得る †

　泥水や海水をやかんで沸騰させて、やかんの口にコップをさかさまにつけておき、下に受け皿を置いておくと、水がたまる。この水は蒸留水なので安全。ただし、海水を沸騰させるとき、あまりやかんに入れてしまうと塩辛いので、少しずつやるとよい。

露から飲み水を得る †

　露は夜の冷たい空気のためにできる。夜気温が下がると空気中の水蒸気が冷たい空気とぶつかって凝結し、物体の表面に水滴ができる。水蒸気が気体から液体に変わる温度を露点という。気温がもっと下がると、水蒸気が直ちに物体表面にこりつくので、露ではなく霜ができる。

　ビニールは水を吸収しないので、夜の間に地面に広げておけば、その面積だけの露を得ることができる。

　直径1m、深さ50cmぐらいの穴を掘る。穴の底に植物を敷き詰め、中央に受けの器を置く。全体をブルーシートで覆い、周囲を土で固めて数箇所を石で固定する。シートの中央にひとつそっと小石をのせる。地面や植物から立ち上る水蒸気が、昼と夜との温度差で水滴に変わる。それがシートを伝わり落ちて受けの器にたまる仕掛けである。

　この方法が成功するのは晴れて、朝晩の温度差があるときに限る。しかも、とれる量はかなり少ない。一晩でコップ一杯程度のときもある。

海水から飲み水を得る †

　海水の蒸留法を最初に発見した人は古代ギリシャの哲学者アリストテレスといわれている。塩水を溶かしてから水蒸気を液化させると純粋な水を得られるという事実を知っていたのだ。

　まず、竹を1本切って長い筒を作る。筒を海水の入っている缶の真中に立てて、缶と筒の高さを合わせてから缶の上の部分をビニールでふさぐ。そして、ビニールの上には冷たい水を適当に注ぐ。

　海水が沸騰すると、ビニールが水蒸気により白っぽく変わるはずだ。後は、露を集める方法同様に、中心に滴が移動し、竹の中に滴が落ちるわけだ。

その他の水分の入手 †

体液を飲む †

　水が不足したら、尿・汗を飲むしかない。

アリの巣穴 †

　アリの穴のあるところには水がある。

カキツバタ †

　谷あいでカキツバタがたくさん生えていれば地下水がある。

注意 †

• 川の水に中毒しないためにも、杏の種の実やタニシのほしたものを川水と一緒に煮て、うわずみを飲むとよい。
• 他国・敵地の井戸水は飲まない方がよい。大小便が投げ込んであることがある。

参考文献 †

• 『無人島暮らしの手帖』