目次 †
電磁波レベルメータSP DN-G8SP †
- 基板上のループアンテナとインダクターアンテナの2つのアンテナで高域と低域の電磁波量を5段階LEDで表す電磁波メーターである。
- 電磁波には方向性があるので、アンテナの方向を変えることでもレベルは変化する。
- 型番:DN-G8SP
- ワンダーキット製の電子キット
- マルツパーツ館で\2,467
- 対応ケース
- 製作時間:2時間(ケース加工時間:1.5時間)
特徴 †
- 電源電圧
- 標準DC3V(単3×2本)
- CN1から入力。電源電圧はDC3〜5V。電池・ACアダプターなどが使用可能。
- 電源が電池の場合、交換時期はLD6(緑LED)が暗くなったときが目安である。
- 動作時電流
- 約12mA(LED全点灯時)
- 約3.5mA(待機時)
- 電磁波検出方式
- 高域:基板上ループアンテナ
- 低域:インダクターコイル
- 測定周波数範囲
- 高域:約300MHz〜3GHz(携帯電話・無線機・電子レンジ・盗聴器などの電磁波)
- 基板上のアンテナで受信する。LEDで表される強さは「電力密度:電磁波の通過電力」になる。
- 低域:約300Hz〜10KHz(扇風機・TV(ブラウン管)・ACアダプター・モーターなどの電磁波)
- インダクター(SENS)により受信する。LEDで表される強さは磁界の強さになる(静磁界ではない)。
- 表示
- 相対値による5段階
- 5mm LED×5個による表示
- 基板サイズ
過去のバージョンとの違い †
- SP版では受信した電磁波の感度調整が可能になった。
- SP版では006P型電池(9V)から単3電池×2個(3V)に変更になり、さらにバッテリー寿命も長くなった。
内容物 †
製作 †
回路図 †
組み立て図 †
使用した道具 †
- 本体製作用
- ニッパー
- はんだ
- はんだごて
- プラスドライバー
- ICピンそろった
- ケース加工用
- 卓上ボール盤
- シャーシリーマー
- バリ取り器
- 両面テープ
製作手順 †
取扱説明書の通りで問題なく作ることができる。
個人的に気をつけたことを次に列挙する。
- 基板のはんだ付けで際どいところもあるので、変なところと連結してしまわないように注意。拡大鏡を利用すると便利。
- 電池は別に用意する。
- 充電式の1.2V電池の場合は電圧不足で使用できない。またなるべく新しいものを使用すること。
- インダクターアンテナには極性はない。
- タクトスイッチの取り付け方向には注意。
- ケースに入れるときと入れないときで、電池ボックスを取り付け方が異なる。
- ケースに入れるなら基板の裏側(はんだ付けしている側)、ケースに入れないなら表側に取り付ける。
調整 †
- 電磁波源が明らかにないのに、電源スイッチを入れると赤LEDが点灯するときは感度調整が必要。感度調整用の半固定抵抗を向かって半時計回りに消灯するまで回転させる。
- 半固定抵抗は向かって左回り(半時計周り)で感度小、右回り(時計回り)で感度大になる。
ケース加工 †
- 対応しているケースを利用するなら、付属しているケース加工例という用紙が入っているので、それを参考にするとよい。
- 対応ケースなら、電池ボックスの位置とケース側の電池取り出し口が一致していたり、基板がうまく収めることができ、固定もしやすい。
- ピッチが短いタッピングねじを4本を用意しておくこと。これでケースと基板を固定する。ケースに付属しているねじはあくまでもケース同士の固定に使うものであり、別物である。
- コピーした寸法図をケースにセロハンテープや両面テープなどで貼り付けて、穴開けを行う。
- 穴開けのときには、まず中心にきりなどで3φの中心穴を開けてから、シャーシリーマーを穴を広げていく。
対応ケース内容物
プロクソンの卓上ボール盤で穴あけ
ケース組込み後 †
せっかくケースを加工したので、TEPRAでラベルを付けてみた。
ラベルを付ける前
ラベルを付けた後
電波の単位について †
電磁波を測定する場合の単位は電磁波が低周波か高周波かによって異なる。低周波の場合は波長が大きいので電界と磁界をわけて測定するが、高周波の場合は電界と磁界が一体化しているので電力密度という単位で表す。
- 低周波
- 磁界(ガウスまたはテスラ) and 電界(V/cm)
- 高周波
- 電力密度(mW/cm) or 局所SAR(W/kg)
実験 †
携帯電話 †
使用した携帯電話はsoftbank(vodafone)の2Gタイプなので、1.5GHzが使用されているはずである。このキットは高周波数では300MHz〜3GHzまで対応しているので、十分テストとして活用できるはずである。
時報(117番)に電話かけて、どこまでの距離で反応するか調べた。実験結果は次の通りである。
- 感度最小にすると35cmの距離でLED1個反応する。近づけるにしたがいLEDの点灯数は増える。
- 感度最高にすると3m離れてもLED4,5個反応する。
- ずっと点灯するのではなく、ある一定の周期ごとに点滅するので、電波は断続的に送受信されていることがわかる。
盗聴器 †
仕様上400MHz付近を用いる盗聴器などは探知できるが、100MHz付近を用いる盗聴器(いわゆるFMラジオを受信機として利用するタイプ)は探知できない。そこで、電話がかかっているときだけ399.455MHzに電波を飛ばすタイプの盗聴器を用いて実験してみた。
盗聴器本体
この盗聴器を電話線の間にかませる。時報(117番)に電話して盗聴波を出す。実際に出ていることは広帯域受信機で確認する。きちんと広帯域受信機から時報が聞こえているので盗聴波は確実に出ていることを確認できた。
最初、電磁波レベルメータSPの感度を最小にしていたらまったくLEDが反応しなかった。盗聴器の横に持ってきてもダメであった。そこで、感度を最高にしてみると近くに持って来ると反応が出た。といっても盗聴器から30cmぐらいの距離に持ってきてLED1個程度である。
実際に盗聴器発見器として利用するときは感度最高にしておかなければならないことがわかった。広帯域受信機で盗聴波が出ている部屋までを特定した後に、そこでやっと電磁波レベルメータSPが使える段階だろう。これを用いて盗聴器の場所を最後の絞込みができるだろう。
以上の考察より、周波数の高いものはよく反応し、周波数が低いものは反応しにくいということがわかった。