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透磁率

目次 †

はじめに †

　磁束密度ベクトルと磁界ベクトルとの間には、次のような比例関係が存在する。

　←(*)

　μは比例定数である。空間の物質によって決まる定数であり、透磁率と呼ぶ。

透磁率【とうじりつ】 †

• 透磁率とは、2つの磁極が置かれた空間の物質（磁性体）によって決まる定数である。
• μ（ミュー）で表現されることが多い。
• 透磁率の単位には、[H/m]（ヘンリー毎メートル）が用いられる。

透磁率の単位 †

　磁束密度Bの単位は[N/A・m] or [Wb/m2]である。また、Hの単位は[A/m]である。

　（∵(*)）

　同様にして、透磁率の単位は次であることがわかる。

[補講]同じ透磁率の単位がこのように色々な形で表されるのは面倒である。しかし、歴史的事情があり使われたものであり、そのどれかを止めにするというわけにもいかないのである。　◇

真空の透磁率 †

• 一般に、真空の透磁率はμ0で表される。
• 真空の透磁率の値はμ0=4π×10-7=1.26×106[H/m]
• 空気の透磁率は、真空の透磁率とほぼ同じ値である。

比透磁率 †

　真空の透磁率は得られたが、一般に磁性体ではμはμ0に比べてはるかに大きい。そこで、次のように比透磁率を定義する。

各物質の比透磁率 †

比透磁率の分類 †

　物体を磁界の中に置いたり、磁石の近くに置いたりして、それが磁石になることを磁化（磁気誘導）という。また、磁化する物体を磁性体という。

　磁性体は数多くの小さい分子磁石を含んでいる。永久磁石ではその分子磁石の向きが揃っており、そのために強い磁性を持つ。しかし、軟鉄のような磁性体では、分子磁石の向きがばらばらであるために、全体として磁石にならない。しかし、外から磁界を加えると、分子磁石の向きが揃ってくるために、磁石になり、磁束密度が増す。

　磁性体には次の3種類がある。

　強磁性体は強く磁化され、磁石を遠ざけても磁化されたままであり、磁石としての性質を強く残している。
　強磁性体を磁石の近くに置くと、磁性によって引き付けられる。これは磁界の中に置かれた強磁性体が強く磁化するためである。
　コイルの中に強磁性体を入れて電磁石を作るのは、この性質を利用したものである。

　一方、常磁性体と反磁性体は、弱く磁化され、磁石を遠ざけると磁石としての性質をあまり残さない。
　常磁性体は磁場と同じ向きに磁化される。また、反磁性体は、磁界の向きとは反対向きに磁化される。

[補講]通常、磁性体と呼ばれるのは強磁性体のみである。　◇

参考文献 †

• 『First Stageシリーズ　電気・電子入門』