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忍者

目次 †

忍者 †

• 基本的に戦闘員ではない。

忍者の服装 †

• 忍び装束は、体にフィットし、身体を動かしても着崩れしない手軽なものが好まれた。
• 深夜が活動の中心であったので、闇にまぎれる必要がある。真っ黒の格好は逆に夜半に浮かび上がってしまうので、実際には羊羮色ともいうべき赤茶けた黒が多く用いられた。
  • 闇に溶け込むだけでなく、出血した際に目立たないという利点もあった。
• 草深い場所では濃紺色の服装で、鉄分を含んだすっぱい匂いのする成分で染めていた。これは虫や蛇を避けるために有効であった。
  • アメリカの開拓民がブルージーンズを掃いていたのと同じ理由である。
• 月の明るい夜には、明るい茶色や灰色なども多く使われていた。
• 裏表リバーシブルになったものもあり、周囲の環境によって使い分けたり、敵に見つかった際に途中で裏返して別人になりすましたりした。
• いたるところにポケットがあり、上衣や襟の裏には小物、手甲や脚絆には武器などを隠し持っていた。

忍者の道具 †

• 道具がたくさんあれば便利だが、音がしたり動きづらいので、ありふれた道具をいかに効率よく使えるかが忍者の腕の見せ所であった。
• 手裏剣などが忍者の武器として有名だが、いつも持ち歩いているわけではなかった。鎌や五徳【ごとく】などで代用することもあった。

忍び六具 †

　忍者は敵地に向かって旅をするとき、忍び六具と呼ばれる道具類を持ち歩いていた。

1. 編笠【あみがさ】
   • 顔を隠すことができ、外がよく見えるように工夫されている。
   • 日よけ、雨よけとして機能する。
   • 笠の内部に文書を仕込むことができた。
2. 鉤縄【かぎなわ】
   • 高低所の上り下りや、敵を縛るのに使った。
   • また、船を繋いだり、井戸に落としたものを引き上げるためにも使える。
3. 石筆【せきひつ】
   • 黒か赤の粘土を固めて、ペンの形にした筆記用具。
4. 薬
   • 薬草・傷薬など。
   • 任務によって、毒物も持ち歩いた。
5. 三尺手ぬぐい
   • 鉢巻やほっかむり、包帯、汚水の濾過に使う。
6. 打ち竹
   • 火種を入れる。
     • 火種は放火・料理、鉄砲や暖房器具用に使われる。

[補講]これらは忍者に限らず、当時の旅慣れた人が日常的に携帯しているものである。実際に江戸時代に出版された『旅行用心集』にも似たような道具が紹介されている。旅人と同じものを持ち歩いていれば、仮につかまったときにも言い逃れしやすいからである。　◇

食料 †

• 煮炊きしないで数日間耐え忍ぶことができる携帯非常食や、渇きを紛らわせるための食物が研究され、使用されていた。

非常食 †

• 水渇丸【すいかつがん】
  • 梅肉・氷砂糖・麦芽を細かく叩き、薬のように丸めたもの。
  • 喉の渇きを抑える効果がある。
• 飢渇丸【きかつがん】
  • 人参・そば粉・小麦粉・山芋・甘草・はと麦・もち米をそれぞれ粉末にし、酒に3年間浸し、渇ききったところで桃の種大に丸めたもの。
  • 飢えのしのぐために使われた。
• 兵糧丸【ひょうろうがん】
  • 鍋に小麦粉・もち米の粉・人参の細かく砕いたものを入れ、蜂蜜・酒を加えてとろ火で煮詰めて、丸めたもの。
  • 材料も作り方も簡単で、カロリーが高いので、非常食として有効である。
    • 第二次世界大戦の日本兵が実際に作って食べていた。

薬草 †

• 忍者は薬の知識も深く、様々な場面で薬草を使い分けることができた。
• 怪我の応急措置や、薬の行商人に姿を変えて要人に接近するために必須の知識でもあった。
• 打ち身や捻挫には、笹の葉を蒸して酢で練ったものが使われた。
• 甲賀は薬草の産地であり、甲賀流の忍者は特に薬について研究していた。
  • 今でも滋賀県に製薬会社が多いのは、元々忍者の子孫だった人たちが薬屋を始めたからだと言われている。

毒物 †

• 忍者にとっての大敵に犬がいたため、犬殺しの薬も用いられた。
  • 馬銭子【まちん】という植物に含まれるストリキニーネが全身麻痺・呼吸困難を引き起こす。
  • 忍者はこの馬銭子を焼き飯に混ぜ、侵入の2,3日前に犬のところに置いていたといわれている。
• 昆虫のハンミョウから毒薬
• 玉露の煎じ汁から毒薬
• トリカブトの根から毒薬
• キンポウゲから毒薬
• チョウセンアサガオ（マンダラゲ）から毒薬
• ガマガエルの体液からしびれ薬
• イラクサのとげからかゆくなる薬

忍者の通信方法 †

合言葉 †

• 忍者は任務の途中、味方に敵の間者が紛れていないかどうかを選別する必要があった。なぜならば、任務によって初めて顔を合わせる同胞もいるからである。そこで、同じ衆で理解できる合言葉を利用していた。
  • 風魔衆は「立ち選【すぐ】り居選り」という合言葉を用いていた。
    • 「風」といったら立ち上がり、「雲」といったら座るという合言葉である。これで武田の透波の間者はあぶりだされたという。

暗号 †

• 仲間に情報を伝える手段として、石を並べて伝える「石置き」や、青・黄・赤・黒・紫の5色で染めた米粒「五色米【ごしきまい】」が使われた。
  • 五色米は色と置く形の組み合わせで100種類以上の暗号が作れる。染粉で染めた米粒は、小鳥や虫も嫌って食べないので、数日間は大丈夫であった。
• 込み入ったことを伝えるときは、「へん」と「つくり」の組み合わせを用いた暗号を用いた。

遠隔地の相手に伝える †

• 火薬に精通した忍者は、狼煙も得意であった。
  • まっすぐに煙を上げるために、狼の糞を火薬に混ぜていたことが「狼煙」の語源とされている。
  • また、くすぶっている火の中に狼の糞をくべると、その中に含まれている燐が光って夜でも遠くから見えるからという説がある。

参考文献 †

• 『BAMBOO COMICS　実録忍者列伝』
• 『うめぼし博士の逆・日本史[1]』