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老子

目次 †

老子 †

• 思想家。
• 生没年不詳。
• 中国・春秋時代末期。
• 道家の開祖。
• 老子の実在を疑う学者もいる。
• 楚【そ】の人。
• 周に仕える。
• 図書館の司書にあたる役人になる（40年間ぐらい）。
• おとなしい人。

老子の思想 †

道（タオ） †

　道（タオ）とは、万物を生み成長させる根源を、老子はかりに名付けて道と呼んだ。そして道自体は対象として捉えられないから、名付けようも無いという意味で、無であるといった。万物は、無から生じて無に帰する。人倫の道を説いた孔子に対して、老子は人倫を料悦する自然の大道を説いた。

　老子の思想の特色は、宇宙の根源に道を考えたことである。

無為自然 †

　無為自然とは、何事にも作為をろうせず、自然の道にすなおにしたがって生きることである。老子の思想の中心をなす。老子は道の本来の姿を無為自然ととらえ、人間の理想の行き方もここにあるとした。

　老子によれば、道とは、現実世界の善悪・有無・難易・長短・前後というような、相対的な区別や対立を超えていて、我々の知性や感覚で認識できないもの、つまり無である。この道にしたがって生きる態度が無為自然であり、国家当地の原則ともされた。

小国寡民 †

　小国寡民【かみん】とは理想社会のことである。理想は「玄徳」。老子の説いた理想社会で、素朴で柔弱な心をもつ少数の人々にすむ、小国家のこと。その自給自足の原始的な村落共同体こそ、無為自然を可能にする社会だとされる。

柔弱謙下 †

　柔弱謙下【じゅうじゃくけんげ】とは、柔和で弱弱しそうなへりくだった心で人と争わない態度のことである。老子が、無為自然から導き出した理想の生き方。

老荘思想 †

　老荘思想は、湯川などの多数の科学者にも影響を与えた。

道思想と政治 †

　老子の道の思想は、階級統制に反対するのが出発であったが、時と共に支配階級の連中が逆に道思想を利用して、統治の新しい護符として利用した。

　例えば、道の中に含まれる一の思想は、君主の絶対独裁の理由付けに利用した。

他の思想との関係 †

道思想 vs 韓非子 †

　『韓非子』の中には「解老」「喩老」などといった老子と直接的に関わりを語った章があるが、「主道」などでもいかに老子を具体的に家臣の統制手段、即ち帝王学に用いるかが具体的に描かれている。

道思想 vs 儒教 †

　現実の人間社会を超えて、悠久の天地自然の原理に立とうとする超越主義的な思想は、人倫を重んずる孔子の思想ときわめて対照的である。

幽玄と道 †

　日本の幽玄は道家から来ている。

老子の言動・文献 †

• 「大道[だいどう]廃[すた]れて仁義あり」（『老子』）
  • 老子の言葉。道の本体の姿は無為自然であり、儒教が仁義を強調するのは、本来の道が廃れたためであると、儒教を批判した。
• 「上善は水の若[ごと]し」
  • 老子の言葉。水は、万物に利益を与えて、しかも争わず、低い所に位置する。水は、あらゆるものの中でもっとも柔らかいが、固い岩をも砕く。老子は水を無為自然をしめすものとして、水のような柔和でへりくだった生き方（柔弱謙下）を理想とした。ちなみに、ブルース･リーもこれに影響受けたようだ。
• 「天下の柔弱は水に透ぐるものなし」