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目次 †

FM（周波数変調）の特徴 †

• 周波数変調は、搬送波の周波数を変えてやる方式である。
• 占有周波数帯幅が広い。
• フェージングの影響が少ない。
• 音質がよい。
• VHF帯以上で用いる。
• S/Nがよい。
• 送受信機の構成が複雑。
• ノイズは振幅成分だが、FMは振幅成分を一切扱わないので、ノイズに邪魔されないできれいな音質の放送ができる。

FMとAMとの比較 †

　FMをAMと比べると、FMは次のような特徴を持つ。

• 雑音に強い。
• フェージングの影響が少ない。
• 音質がよい。
• 占有周波数帯幅が広い。
• 超短波以上で用いられる。
• 回路が複雑。

占有周波数帯域幅 †

　周波数変調の場合の占有周波数帯域は、一方の側波帯でみた最大周波数偏移をfd、信号波の最高周波数をfsとすると、次の式で求めることができる。

（占有周波数帯域幅）＝2（fd+fs）

例：最大周波数偏移が5[kHz]の場合、最高周波数3[kHz]の信号波で変調すると、FM波の占有周波数帯幅は幾つになるか。

（FM波の占有周波数帯幅）＝2（5+3）＝16[kHz]

FM波の復調 †

　FM（周波数変調）波の復調では、FM波は振幅が一定なので、そのまま検波しても音声にはならない。そのために、周波数弁別器を使う。

　

周波数弁別器 †

　周波数弁別器とは、入力周波数と出力電圧がほぼ比例する特性をもったものである。FM波の周波数の変化を一旦振幅の変化に直し、それからDSB波の復調の原理を使って信号波を取り出している。

FMの応用例 †

• VHF帯以上

FM送信機 †

・FMとは周波数変調のことなので、FM送信機は周波数変調の送信機ということができる。

・FM送信機から発射される電波の型式は、F3Eと呼ばれるもので、電波法令で定められている占有周波数帯幅は、50MHzと144MHz帯では40kHz、430MHｚ帯では30kHzとなっている。

　

直接FMと間接FM †

　直接FMと間接FMとに分けられる。

直接FM方式 †

直接FM

・信号波の大きさに応じて搬送波の周波数を変化させる方式である。

・発振周波数の安定度が悪いが回路構成が簡単。

・信号波の大きさに応じてLC発信器のLまたはCが変化する素子を用いて発振回路を構成すればFM波が得られる。

・このような素子には、コンデンサマイクロフォン、可変容量ダイオード、リアクタンストランジスタなどがある。

間接FM方式 †

間接FM

・水晶発振器の出力を搬送波として位相変器に加え、信号波を積分回路を通して位相変調器に加える方式である。

・このような回路構成をとると位相変調器の出力がFM波になる。

・発振周波数の安定度がよいが回路構成の複雑。

・間接FM方式に用いられる積分回路は、信号波の周波数に反比例して出力電圧が小さくなる特性を持つ。

リアクタンストランジスタ †

・信号に応じてFETの相互コンダクタンスgmを変化させることにより、等価的にLまたはCを変化させるトランジスタ回路である。

　

音声増幅部 †

・間接FMの場合、IDC回路を設ける。

・この回路は、大きな信号を直接周波数変調部に加えると、瞬間的に変調指数mpが大きくなり、周波数帯域幅が規定以上に広がるのを防止する。

FM送信機の特徴 †

・間接FMの場合、音声信号を積分回路を通して、位相変調器に加えると、FM波を作ることができる。

・変調は発振器またはその次段で行い、AM送信機のように終段などでは行わない。

・使用周波数がVHF帯以上であるため逓倍段数が多い。

・逓倍部、電力増幅部は、FM波を増幅するために広帯域になる。

・信号波の強さが少しくらい変わっても、受信機の出力は変わらない。

・電波の強さがある程度以上あれば雑音が少ない。

・変調器が小さくて済むので小型化できる。

・占有周波数帯幅が広いので、VHF帯でしか使えない。

・信号波の強さがある程度以下になると、雑音が多くなる。

FM送信機の構成 †

周波数変調器（位相変調器） †

・周波数変調器は、音声の振幅に応じて水晶発信器の出力（搬送波）の周波数を変化させFM波を作るものである。

・FM波（周波数変調波）を作るところで、ベクトル合成による位相変調器が使われる。

　

周波数逓倍器 †

・FM波は信号波の振幅に応じて搬送波の周波数が変化する。

　その周波数の変化の大きさを周波数偏移という。

・周波数逓倍器は、発振周波数を整数倍するだけでなく、その周波数偏移を大きくする働きをする。

[補講]DSB送信機の場合、発振周波数を整数倍するだけである。

・FMの占有周波数帯幅は次の式で計算できる。

（FMの占有周波数帯幅）＝２×（最大周波数偏移＋最高周波数）

　式からわかるように、あまり周波数偏移を大きくすると、電波法令で規定された占有周波数帯幅より広がってしまう。

[補講]FM波は、信号波の振幅に応じて、搬送波の周波数が変化する。その周波数の変化の大きさを周波数偏移という。

IDC回路（瞬時周波数偏移制御回路） †

• IDC回路は、大きな音声信号が加わっても、周波数偏移が大きくなりすぎないように制御する。

FM受信機 †

　FM受信機の中間周波数は日本では10.7MHzと決められている。

　FM受信機がDSB受信機と異なる点は、振幅制限器とスケルチ回路があることである。また、検波器として、周波数弁別器が用いられている点である。

　

FM受信機の構成 †

振幅制限器 †

• FM波は周波数変調波なので、搬送波の振幅は変化していないが、それでも空間を伝わってくる間に雑音やその他の電波の影響で、振幅が変化してしまいます。そこで、振幅制限器が振幅変調成分（雑音成分）を取り除き、受信電波の振幅を一定にする働きをする。
• よって、振幅制限器の働きが不十分になると、信号対雑音比（S/N比）が低下し、スピーカーから雑音が出る。

周波数弁別器 †

• 周波数弁別器は、振幅制限器から出たFM波の周波数の変化を一度振幅の変化に直し、その後信号波を取り出す働きをする。

スケルチ回路 †

• スケルチ回路は、受信信号がなくなったときに現れる低周波出力の雑音を取り除く働きをする。

参考文献 †

• 『まるごと覚える4級アマチュア無線　ポイントレッスン』
• 『初級アマチュア無線　問題と解説』
• 『第4級ハム国試　要点マスター2005
• 『電波で遊ぶ』