目次 †
JKフリップフロップ †
- RSフリップフロップでは「R=ON∧S=ON」は禁止入力であったが、このときTフリップフロップの動作(トグル動作*1)をするようにしたのがJK-FFである。
- 市販のJKフリップフロップの多くはレーシング現象*2の発生を防ぐために、パルストリガ方式を用いている。
各種JKフリップフロップ †
立ち上がりエッジ †
機能表 †
CLK | J | K | Q |
↑ | L | L | Q0 |
↑ | L | H | L |
↑ | H | L | H |
↑ | H | H |  ̄Q0 |
- 表の2行目〜4行目で、JをS、KをRとしてみると、RS-FFと同じである。
- 表の5行目で、T-FFと同様の動きになる。
- よって、RS-FFとT-FFの機能を混合しているといえる。
タイムチャート †
- Qの動作は以下の通り。
- 「CLK=↑∧J=0∧K=0」⇒保持動作(Q、 ̄Qは変化なし)
- 「CLK=↑∧J=0∧K=1」⇒リセット動作
- 「CLK=↑∧J=1∧K=0」⇒セット動作
- 「CLK=↑∧J=1∧K=1」⇒反転動作
- CLK、 ̄CLK、Q、 ̄QはRS-FFやT-FFと同じだが、さらにJ入力とK入力が追加されている。
立ち下りエッジ †
- J入力=H、K入力=Lのとき、CK入力の立ち上がりが来ると、Q出力はHになる(セット状態)。
- J入力=L、K入力=Hのとき、CK入力の立ち上がりが来ると、Q出力はLになる(リセット状態)。
- J入力=K入力=Lのとき、CK入力の立ち上がりが来ても、Qは変化せず前の状態のままである(記憶状態)。
- J入力=K入力=Hのとき、CK入力の立ち上がりが来ると、Qと ̄QはH,Lが入れ変わる(反転状態)。
状態遷移図 †
マスタースレーブJK-FF †
2つのJK-FFとNOTゲートを利用したマスタースレーブJK-FFの構成 †
マスタースレーブJK-FFの動作位置 †
- クロックパルスの中間付近は不感状態になり、2つのJK-FFどちらとも動作しない。
- このように入力信号を記憶する動作と、出力に転送する動作を分けることにより、安定に動作するJK-FFとなる。
JKフリップフロップから別のフリップフロップへ変換 †
フリップフロップには多くの種類があり、それぞれの動作を満足するICが市販されている。しかし、あらゆるICを常時揃えておくことは事実上困難である。
JKフリップフロップは、動作表からもわかるように、他のフリップフロップ(RSフリップフロップ・Dフリップフロップ・Tフリップフロップ)の動作を備えていることから、次のように他のフリップフロップに変換して活用されることも多い。
JK-FFを含むIC †
74HC107 †
- CMOS
- JK-FF×2個
- 高速(LS TTLに匹敵)
- 消費電力が小さい。
- 高ファンアウト(LS TTL10個を直接駆動可能)
- Vcc=2V〜6V
- 対称出力インピーダンスで4mAの出力電力が取れる。
LS112,HC112 †
LS112,HC112
- クロックの立下りで動作するダウンエッジ形のJK-FFを2個内蔵。
- プリセットとクリアの非同期入力線が設けられている。
入力 | 出力 | |
CP | J | K | Q |  ̄Q | 動作 |
↓ | 0 | 0 | Q |  ̄Q | 記憶保持 |
↓ | 0 | 1 | 0 | 1 | リセット |
↓ | 1 | 0 | 1 | 0 | セット |
↓ | 1 | 1 |  ̄Q | Q | 反転 |
-  ̄PR、 ̄CLRにより、強制動作が可能。
-  ̄PR:Lレベルで優先的にQ=1のセット動作。
-  ̄CLR:Lレベルで優先的にQ=0のリセット動作。
-  ̄PRと ̄CLRにLレベルを同時に入力するのは禁止。
参考文献 †
- youさん誤植指摘Thanks!
- 『プログラム学習によるディジタル制御』
- 『手と頭で覚える ディジタル回路編 Vol.2』
- 『見方・かき方 ディジタル回路』