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*目次 [#u9c49756]

#contents


*シュレーディンガー方程式 [#hae33381]

**時間に依存しないシュレーディンガー方程式 [#ia1bc4e6]

&mimetex("\Psi = A e^{i \( kx - \omega t\)}");

 この波動関数ψをxに関して微分する。

&mimetex("\frac{\partial \Psi}{\partial x}");~
&mimetex("= \frac{\partial}{\partial x} A e^{i \( kx - \omega t\)}");~
&mimetex("= ikA ^{i \( kx - \omega t\)}");~
&mimetex("= ik \Psi");

 次に両辺に&mimetex("\hbar");を掛けて、運動量を表す&mimetex("p=\hbar k");を使って、整理すると次の関係式が成り立つ。

&mimetex("\frac{\hbar}{i} \frac{\partial}{\partial x} \Psi = p \Psi");

 この式の意味は、波動関数Ψに&mimetex("\frac{\hbar}{i} \frac{\partial}{\partial x}");という演算を行うと、右辺のように運動量pと波動関数の掛け算になるということである。そこでこれを運動量を求める演算という意味で''運動量演算子''と呼ぶ。

&mimetex("\frac{\hbar}{i} \frac{\partial}{\partial x} \Psi = p \Psi");

 この関係式の両辺をxに関して微分すると、左辺は次のようになる。

&mimetex("\frac{\hbar}{i} \frac{\partial^2}{\partial^2 x} \Psi");~
&mimetex("=\frac{\hbar}{i} \cdot \frac{\partial}{\partial x} ik\Psi");~
&mimetex("=\hbar k \frac{\partial \Psi}{\partial x}");~
&mimetex("=\hbar k \cdot ik \Psi");~
&mimetex("=i \hbar k^2 \Psi");

 これをxの2階微分を左辺に持っていき、整理すると次のようになる。

&mimetex("\frac{\partial^2}{\partial^2 x} \Psi = -k^2 \Psi"); ←

 一方、運動エネルギーTは次のように表される。

&mimetex("T = \frac{p^2}{2m}");

 &mimetex("p= \hbar k");の関係を使うと、次のように書ける。

&mimetex("T = \frac{p^2}{2m} = \frac{\hbar^2 k^2}{2m}");

 左辺をkSUP{2};にして、整理すると次のようになる。

&mimetex("k^2 = \frac{2mT}{\hbar^2}");

 これを式,紡綟すると、次のようになる。

&mimetex("\frac{\partial^2}{\partial^2 x} \Psi = - \frac{2mT}{\hbar^2} \Psi");

 まとめると次のようになる。

&mimetex("- \frac{\hbar^2}{2m} \frac{\partial^2}{\partial^2 x} \Psi = T \Psi");

 これは波動関数Ψに&mimetex("- \frac{\hbar^2}{2m} \frac{\partial^2}{\partial^2 x}");という演算を行うと、運動エネルギーと波動関数の掛け算になることを意味する。

 全エネルギーEは位置エネルギーVと運動エネルギーTの和である。よってE=T+Vが成り立つ。これを使って、式を書き換えると次のようになる。

&mimetex("- \frac{\hbar^2}{2m} \frac{\partial^2}{\partial^2 x} \Psi + V \Psi = E \Psi");

 これに波動関数&mimetex("\Psi = A e^{i \( kx - \omega t\)}");を代入すると、次のようになる。

&mimetex("- \frac{\hbar^2}{2m} \frac{\partial^2}{\partial^2 x} A e^{i \( kx - \omega t\)} + V A e^{i \( kx - \omega t\)} = E A e^{i \( kx - \omega t\)}");

 この式には時間に関する微分はないので、波動関数の中のeSUP{-iωt};の項を次のようにxの微分から分離できる。

&mimetex("\(- \frac{\hbar^2}{2m} \frac{\partial^2}{\partial^2 x} A e^{ikx} + V A e^{ikx} \) e^{-i \omega t} = E A e^{ikx} e^{-i \omega t}");

 よって、次を解けばよいことになる。

&mimetex("- \frac{\hbar^2}{2m} \frac{\partial^2}{\partial^2 x} A e^{ikx} + V A e^{ikx} = E A e^{ikx} ");

 ここで時間を含まない波動関数&mimetex("A e^{ikx}");をφと置くと、次のようになる。

&mimetex("\( - \frac{\hbar^2}{2m} \frac{\partial^2}{\partial^2 x}+ V \) \phi = E \phi ");

 この式の左辺の第1項は運動エネルギーに、第2項は位置エネルギーに、右辺は全エネルギーに対応しているとイメージすると覚えられるだろう。

 この式には時間が入っていないので、''時間に依存しないシュレーディンガー方程式''と呼ばれる。

 この式の右辺はエネルギーEにφを掛けたものである。つまり、エネルギーを求める演算子は&mimetex("- \frac{\hbar^2}{2m} \frac{\partial^2}{\partial^2 x}+ V");ということになる。この演算子は''ハミルトニアン''と呼ばれ、Hで表される。

 また、シュレーディンガー方程式を解いて求められる波動関数を''固有関数''と呼ぶ。エネルギーEは''エネルギー固有値''と呼ばれる。


***時間に依存しないシュレーディンガー方程式の解 [#i4ec93f0]

 電子の入るポテンシャル(位置エネルギーの分布の形)として井戸の形をしている、''井戸形ポテンシャル''というものを考える。シュレーディンガー方程式では単にVと置いていたが、ポテンシャルエネルギーの大きさは場所xによって異なるので、ポテンシャルエネルギーはxの関数としてV(x)と書く。ポテンシャルV(x)は次のような式になる。

&mimetex("V \( x \) =E_{B} \: \( x<0 \)");~
&mimetex("V \( x \) =0 \: \( 0 \le x \le L \)");~
&mimetex("V \( x \) =E_{B} \: \( L<x \)");

#img(http://security2600.sakura.ne.jp/main2/image1/ido.jpg)
#img(,clear)

 電子は小さいので重力はあまり重要なのではなく、電荷を持っているのでクーロン力(電気的な力)のほうが大きく働く。電子のエネルギーが上方向になっているので、もしプラスの電荷で考えるなら上に行くほどエネルギーが小さいということになる。

 ここで量子井戸が無限に深い、即ちESUB{B};=∞として考える。仮に壁の高さが無限でなければ、壁の中に電子の波が進入してしまう。これを''トンネル効果''と呼ぶ。とりあえずここでは量子井戸が無限に深いとすると、電子が壁の中に進入しないので、井戸の中だけに存在するようになる。電子の波は左右の壁に阻まれ、仮にぶつかっても跳ね返り、結局井戸の中に閉じ込められる。この場合、井戸の中に安定に存在する波は''定在波''と呼ばれる。

 無限に深い量子井戸中で安定に存在する一番波長の長い波動関数は、波長の半分の長さが井戸幅Lに等しいものになる。その次にエネルギーの高い波は、波長λが井戸幅Lに等しいものである。同様に、あるエネルギーの定在波の波長をλSUB{n};とすると、次の関係が成り立つ電子の波が解となる。

&mimetex("n \frac{\lambda_n}{2} = L");

(nは正の整数)

 よって、井戸の中の波動関数は、次のようにサイン波で表される。

&mimetex("\Psi_{n} = A \sin \( \frac{2 \pi x}{\lambda_{n}} \) = A \sin \( \frac{n \pi x}{L} \)");

 Aは振幅で、規格化条件を満たすように決める。規格化条件を満たすので、次が成り立つ。ただし、量子井戸のxの範囲は-∞〜+∞ではなく、0〜Lで考えれば十分なのでこうなる。

&mimetex("{\Bigint}_{0}^{L} \Psi^{*}_{n} \Psi_{n} dx =1");

 ではこの規格化条件を満たす係数Aを求めてみる。

&mimetex("{\Bigint}_{0}^{L} \Psi^{*}_{n} \Psi_{n} dx");~
&mimetex("= {\Bigint}_{0}^{L} A^{2} \sin^{2} \( \frac{n \pi x}{L} dx\)");~
&mimetex("= \frac{A^2}{2} {\Bigint}_{0}^{L} \( 1 - \cos \frac{2n \pi x}{L} \) dx");~
&mimetex("= \frac{A^2}{2} \( \[ x \]_{0}^{L} - \[ \frac{L}{2n \pi} \sin  \frac{2n \pi x}{L} \]_{0}^{L} \)");~
&mimetex("= \frac{A^2}{2} \( L - 0 - \frac{L}{2n \pi} \sin 2n \pi +\frac{L}{2n \pi} \sin 0 \)");~
&mimetex("= \frac{A^2}{2} L");

 よって、&mimetex("\frac{A^2}{2} L =1");より、振幅Aが求められる。

&mimetex("A = \sqrt{\frac{2}{L}}");

 ゆえに、規格化された波動関数は次のようになる。

&mimetex("\Psi_{n} = \sqrt{\frac{2}{L}} \sin \( \frac{n \pi x}{L} \)");

(nは正の整数)

 ついでに定在波が成り立つときの電子のエネルギーも求めてしまおう。定在波なので時間に依存しないシュレーディンガー方程式に、上記の波動関数ΨSUB{n};を代入すれば、エネルギーが求まる。

 量子井戸の中では、ポテンシャルV=0とおいたので、運動エネルギーの項のみが残る。よって、次のようになる。

&mimetex("- \frac{\hbar^2}{2m} \frac{\partial^2}{\partial^2 x} \Psi + V \Psi = E \Psi");~
&mimetex("- \frac{\hbar^2}{2m} \frac{\partial^2}{\partial^2 x} \sqrt{\frac{2}{L}} \sin \( \frac{n \pi x}{L} \) = E_{n} \sqrt{\frac{2}{L}} \sin \( \frac{n \pi x}{L} \)");~
&mimetex("E_{n} = \frac{\hbar^2}{2m} \( {\frac{n \pi}{L}}^{2} \)");

 一番下(n=1)の定在波のエネルギーをESUB{1};とすると、次が成り立つ。

&mimetex("E_{1} = \frac{\hbar^2}{2m} \( {\frac{\pi}{L}}^{2} \)");~
&mimetex("=\frac{\hbar^2}{2m} \( {\frac{n \pi}{L}}^{2} \frac{1}{n^2}\)");

 よって、次が成り立つ。

&mimetex("E_n = n^2 E_1");

 nSUB{2};となっているので、2番目(n=2)の定在波のエネルギーはその4倍、3番目(n=3)の定在波のエネルギーはその9倍、…となる。このときエネルギーは飛び飛びの値を取り、量子化される。これらの定在波の条件が成立し、電子が安定に存在するエネルギーを''エネルギー準位''という。特に一番エネルギーが低い準位は、一番底にあるので''基底準位''と呼ばれる。またnの値によって異なる量子状態を表すので、このnを''量子数''と呼ぶ。

**時間に依存するシュレーディンガー方程式 [#hbea7043]

 まず波動関数&mimetex("\Psi = A e^{i \( kx - \omega t\)}");を時間tで微分する。

&mimetex("\frac{\partial}{\partial t} \Psi");~
&mimetex("= \frac{\partial}{\partial t} A e^{i \( kx - \omega t\)}");~
&mimetex("= - i \omega A e^{i \( kx - \omega t\)}");~
&mimetex("= - i \omega \Psi");

 これの両辺に&mimetex("\hbar i");を掛けて、&mimetex("E = \hbar \omega");を使って整理すると、次のようになる。

&mimetex("i \hbar \frac{\partial}{\partial t} \Psi = E \Psi");

 そして、&mimetex("- \frac{\hbar^2}{2m} \frac{\partial^2}{\partial^2 x} \Psi + V \Psi = E \Psi");より、次が成り立つ。

&mimetex("i \hbar \frac{\partial}{\partial t} \Psi = H \Psi");

 この式は''時間に依存するシュレーディンガー方程式''と呼ばれる。もちろん時間に依存しないタイプより、一般的なので適用範囲は広い。

[補講]大学で量子論を学ぶ必要があるなら、時間に依存しないシュレーディンガー方程式と時間に依存するシュレーディンガー方程式の両方とも暗記する必要があるだろう。


*物理量の求め方 [#x1a639a1]

 運動量演算子と運動量において、次の関係が成り立つことはすでに見た。

&mimetex("\frac{\hbar}{i} \frac{\partial}{\partial x} \Psi = p \Psi");

 この式を使って運動量を求めるには、波動関数Ψの複素共役ΨSUP{*};を左から掛けて、その積分をとればよい。

&mimetex("{\Bigint}_{-\infty}^{\infty} \Psi^{*} \frac{\hbar}{i} \frac{\partial}{\partial x} \Psi dx = {\Bigint}_{-\infty}^{\infty} \Psi^{*} p \Psi dx");

 右辺のpは&mimetex("\hbar k");と一致し、これは数値である。エイチバーと波数は両方とも数値だから。よってpは積分の外に出せて、次が成り立つ。

&mimetex("{\Bigint}_{-\infty}^{\infty} \Psi^{*} \frac{\hbar}{i} \frac{\partial}{\partial x} \Psi dx = p {\Bigint}_{-\infty}^{\infty} \Psi^{*} \Psi dx");

 右辺のΨSUP{*};Ψは、ある場所xに電子が存在する確率(''存在確率''という)を表すとボルンによって理解された。x座標の-∞から+∞までのすべての存在確率を足せば、100%=電子1個になるので、次が成り立つ。

&mimetex("{\Bigint}_{-\infty}^{\infty} \Psi^{*} \Psi dx = 1");

 これを波動関数の''規格化条件''と呼ぶ。よって、次が成り立つ。

&mimetex("p = {\Bigint}_{-\infty}^{\infty} \Psi^{*} \frac{\hbar}{i} \frac{\partial}{\partial x} \Psi dx");

 運動量演算子を複素共役の波動関数で挟んで積分を取ると、その物理量である運動量pを求められた。このようにして得られる物理量を''期待値''と呼ぶ。

 また同様に、エネルギーの期待値を求めるときもハミルトニアンを複素共役の波動関数で挟んで積分を取ればよい。


&mimetex("{\Bigint}_{-\infty}^{\infty} \Psi^{*} \(- \frac{\hbar^2}{2m} \frac{\partial^2}{\partial^2 x}+ V \) \Psi dx = {\Bigint}_{-\infty}^{\infty} \Psi^{*} E \Psi dx");

 右辺は次のように変形できる。

&mimetex("{\Bigint}_{-\infty}^{\infty} \Psi^{*} E \Psi dx");~
&mimetex("=E {\Bigint}_{-\infty}^{\infty} \Psi^{*} \Psi dx");~
&mimetex("=E");

 以降演算子のときはハットをつけることにする。

例:pは単に運動量の値を表し、&mimetex("\hat{p}");は運動量演算子を表す。

&mimetex("\hat{p} \equiv \frac{\hbar}{i} \frac{\partial}{\partial x}");


*ブランケット表示 [#l09409f6]

 運動量pを求める積分の式は次のように表されることはすでにやった。

&mimetex("p = {\Bigint}_{-\infty}^{\infty} \Psi^{*} \frac{\hbar}{i} \frac{\partial}{\partial x} \Psi dx");

 しかしこれを書くのは大変なので、ディラックによるブランケット表示というものがよく使われる。

&mimetex("p = {\Bigint}_{-\infty}^{\infty} \Psi^{*} \frac{\hbar}{i} \frac{\partial}{\partial x} \Psi dx");~
&mimetex(":= \< \Psi |\frac{\hbar}{i} \frac{\partial}{\partial x}| \Psi\>");

 このように真中に演算子を置いて、右側に演算される波動関数、左側にその演算結果にかける波動関数を書く。


*参考文献 [#da0a735c]

-『高校数学でわかるシュレーディンガー方程式』
-『Aha!量子力学がわかった!』