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  • ゲリラ戦争 へ行く。

*目次 [#bfae80cd]

#contents


*ゲリラ活動の基本 [#e93323af]

・敵の武器、弾薬、敵の行動の習性は重要な研究課題である。なぜならば、ゲリラ軍が補給を得る主な供給源はまさに敵の軍備であるからである。もしも、武器の選択の余地があるならば、敵が使用しているものと同じ型の兵器を選ぶべきである。というのは、ゲリラ部隊にとって一番大きな問題は弾薬が欠乏することであり、これを敵から供給してもらわなければならないからである。

・戦略目標を決定し、これを分析したならば、終局的目標の遂行にいたる手段の順序を研究する。こうした計画は戦闘の発展または予想できない情勢の到来によって修正・調整したりしなければならないにしても、前もって立てておかなければならない。

・戦いの最初の段階で、ゲリラ戦士にとって一番大事なことは、殺されないようにすることである。ゲリラ部隊の各メンバーおよびゲリラの小部隊は、自分たちの生活形態に適応し、敵軍の攻撃から逃れることは次第に容易になる。なぜならば、それは毎日行われるからである。このような状態に達したならば、ゲリラは敵の到達範囲外にある近寄りがたい場所に陣取るか、あるいは敵に攻撃を思いとどまらせるだけの兵力を集めた上で、敵を次第に弱らせるための先頭を開始するべきである。この戦いはゲリラ部隊に対する戦闘が現に行われている諸地域に最も近い諸地点でまず行い、その後敵の領域内により深く入っていくのである。そして、敵の連絡路を襲い、さらに敵の作戦基地および本拠地を攻撃・攪乱し、ゲリラ軍の全力をあげて敵をいたるところで苦しめるのである。

・ゲリラ隊員が戦死した場合は、これに武器弾薬をもたせたまま遺棄してはならない。戦友が倒れたときはいつでも、これら戦闘のために極度に必要な用具をすぐさま回収することがすべてのゲリラ兵士の義務である。

・ゲリラ部隊の最大の特長は機動性である。機動性が高いので、ヒットエンドラン攻撃がやりやすい。また少数の部隊で多人数の敵部隊を釘付けさせることもできる。

・ゲリラ戦士は口が固くなければならない。自分の前で話され、行われたことは、すべて厳重に胸の中に秘めておくことが要求される。戦友に対しても無用なことはただ一言も語ってはならない。敵はゲリラ部隊の計画・配置・生活手段などを探ろうとして、常にゲリラ隊の内部にスパイを送り込もうとしているからである。

・戦争準備のために秘密活動をしている革命家は、完全に禁欲的であるためである。これは後になって彼の権威の基礎となる資質のひとつ、即ち規律をテストすることにもなる。

 もし、上官の命令に繰り返し背いて女性と接触したり、赦されていない交友を行ったりするものがあったら、その人間はただちに隔離しなくてはならない。それは、その人物の人間関係が危険をはらんでいるためばかりではなく、そうした行為が革命的規律の侵犯であるからである。


*ゲリラ戦の特徴 [#yd60f1e8]

**発砲 [#f361a410]

 発砲のやり方を見ただけで、ゲリラ部隊と正規軍のどちらかを識別できる。正規軍が大量に発砲するのに対して、ゲリラ部隊は散発的に、しかも正確に射撃するのである。


**航空機に対する防衛 [#p7b9aaf2]

 敵軍のお気に入りの兵器のひとつとして、航空機がある。しかし、ゲリラ戦がまだ第一段階にあり、山岳地帯に少数の人間しか集まっていない間は空軍は全然役に立たない。空軍の有用性は空から見える系統立った防衛陣地を構成する巨大な人員がなければならない。しかし、ゲリラ戦にあっては、そのようなものは存在しないのである。

 また、航空機は平地あるいは遮蔽物のない地帯を隊を組んで移動している舞台を攻撃する際に威力を発揮する。しかし、ゲリラ側はこうした空中攻撃の危険性を回避するために、夜間に行軍する。
 また、航空機は平地あるいは遮蔽物のない地帯を隊を組んで移動している部隊を攻撃する際に威力を発揮する。しかし、ゲリラ側はこうした空中攻撃の危険性を回避するために、夜間に行軍する。


*情報の差異 [#w794d672]

 ゲリラ側に届く情報と敵軍に届く情報には、著しく差異がある。敵軍に対しては、周囲の農民が固く口をつぐむという完全な敵対的な環境で作戦しなければならないが、ゲリラ側(革命軍)にはほとんど軒並みに友人や親類がある。そして、ニュースは絶え間なく連絡組織を通して、ゲリラ軍の中央司令部や、その地域のゲリラ集団の指導部にもたらされる。


*サボタージュ [#k4f1ecdd]

 サボタージュ(破壊活動)は極めて重要である。

 敵に帰順している地域での、敵軍の革命軍に対する大きな強みは急速な通信と交通である。だから、我々は鉄橋・地上送電線・電燈・電話線を破壊することで、たえず敵のこの力を弱めなければならない。また、水道その他の、正常な近代生活に必要なすべてのものを破壊しなくてはならない。

 敵の最大の弱点のひとつは、道路および鉄道による輸送である。大量の爆薬を接地してその道路を通行不能にできる。特に、敵の車両が通過する瞬間に爆薬を破裂させて敵の人員と輸送物資に大損害を与え、同時に道路を切断することもできる。よって、サボタージュで交通手段を遮断するのは有効である。

 ある時期には、各地域の重要産業も必要な道具を用いて破壊すること。だが、これらの場合には、全体的見地から問題を考え、決定的瞬間でない限り労働の中心地を破壊しないこと。なぜならば、その結果、労働者の大量失業と飢餓が起きるからである。権力者の所有している企業は、極めて重大な社会的結果が生じない限り、絶滅すべきである。そして、労働者にそうする必要があることを確信させるための工作をしなければならない。

 サボタージュをやる際には、ヒットエンドランの原則を常に守りながら、近くにいる敵と度々接触するのがうまい方法である。真剣な抵抗戦をやる必要はない。ただ敵側に、サボタージュの行われている地域には、戦闘用意のあるゲリラ軍がいるということを知らせてやればよい。こうすれば、敵は多人数の軍隊で注意深く動くか、あるいはまったく動かないでいるかより仕方がなくなるからである。

 こうして、ゲリラ戦の行われている地帯の全都市は、少しずつ麻痺させられていく。


**サボタージュの種類 [#h70d9809]

 サボタージュには2つの型がある。

-決定された目標に対する全国的規模のサボタージュ
--主として通信および交通の破壊を目標とすべき。
-戦線における地域的なサボタージュ
--ゲリラ軍の斥候の貴重な援助を計算に入れることが可能。彼らはこれらの地域に急に襲来し、市民組織の人たちの任務遂行を援助できる。
--ここでもサボタージュは主に交通・通信に向けられるべきだが、さらに執拗にやる必要がある。
--敵がゲリラ軍に対する攻撃維持に必要な物資を手に入れられるようなあらゆる工場、あらゆる生産の中心も破壊する。


**橋の破壊 [#qb16895d]

・橋はダイナマイトで攻撃できる。

・ダイナマイトがなくても、鉄鋼橋梁をアセチレンガスを使って容易に落とすことができる。

・鉄鋼製つり橋は、その橋桁と橋を吊り下げている上部の梁を切断すればよい。この2つの梁を一方で切断し、次に反対側でも切断する。橋は片側が完全に落ち、ねじれて破壊される。ダイナマイトなしで鉄鋼橋梁を壊すには、このやり方が最も効果的である。


**サボタージュとテロリズムの違い [#iaa7bafa]

 革命的で極めて効果的な戦争の方法であるサボタージュ(破壊活動)とテロリズムとは、明確に区別しなければならない。

 テロリズムの場合、無差別的なものとなりやすい。しばしば全然罪のない人々を犠牲にしたり、革命に利益をもたらす非常に多くの人々を殺してしまう。抑圧者を抹殺するのにはテロリズムは有効であるが、重要でない人物を殺害することは決してよくない。それはより多くの報復を招き、死者を出すだけだからだ。

 サボタージュの場合、ライフライン・交通手段を破壊するのが効果的である。ただし、一部の人々を麻痺状態に陥れ、そして失業させるようなことをしてはならない。例えば、清涼飲料の工場に対してサボタージュをやるのはばかげているが、発電所に対してサボタージュするのはまったく正しい賢明なことである。


*ゲリラ戦における武器 [#pd6c2c1a]

・弾丸をあまり食わない射程の長い武器が適している。そして、これを一団の自動または半自動火器によって支援するのである。

 米国の市場にあるライフル銃や機関銃の中ではM-1ライフル銃(ガランド銃)がよい。しかし、この銃は弾丸を食いすぎるから、ある程度腕のよい者に使用させる。

・三脚付きの重機関銃や50ミリ機関砲のような中位の重火器は、その武器とそれを使用する兵員の安全を比較的容易に確保できるような有利な地域で使用できる。しかし、それは攻撃には使用せず、常に敵を撃退するときにのみ使用すべきである。

 もちろんこれらも敵から奪い取ったことを想定している。奪い取ったものなので、躊躇なく放棄することができるだろう。つまり放棄することを承知の上で使用すべきなわけだ。

・銃の構造は簡単なほどよい。部品の交換が楽になるからである。ゲリラのすべての兵器は、敵の武器が手に入った場合、その弾薬を使用できるように敵の癖と同じものにしておかなければならない。

・バズーカ砲は重火器であるが、操作と運搬が簡単なのでゲリラ側も利用できる。バズーカ砲の代わりに、ライフル銃で発射する対戦車手榴弾も使える。

 もちろんバズーカ砲は敵から奪い取って手に入れる。

 バズーカ砲は装甲車を撃つのに最も適しているが、兵員輸送中の無装甲車を撃ったり、少人数の敵拠点を短時間で占領するときのも役立つ。しかし、一人の人間が運べるバズーカ砲の砲弾は最高3発までであり、それも非常に骨が折れることを知っておかなければならない。


**理想的な武器の編成 [#q3d882fe]

 兵員25名からなるゲリラ部隊の装備の理想的な編成は次の通り。

-単発ライフル銃:10〜15丁
-ガランド中から自動小銃にいたる自動火器:約10丁
--ブローニングまたはもっと新型のベルギー製のFALおよびM-14自動ライフル銃のような軽い携帯に便利な自動火器
--自動小銃の中では9ミリ口径のものが弾丸をたくさん持ち運べるからよい。


*ゲリラ戦争と動物 [#i6d28374]

・山岳地帯ではラバがよい。ラバは他の動物でも通ることができない非常に険しい地帯を歩く歩くことができる。

[補講]最も困難な条件下では、人間が輸送を行わなければならない。一人の人間は25kgのものを長時間に渡って毎日運ぶことができるし、またそうした労働にも何日間も従事できる。

・家畜の栄養をよくするために牧草を充分用意することも必要である。

・伝書鳩は通信に使える。


*ゲリラ戦士の装備 [#dd622c35]

 ゲリラ戦士は自分の家をザックに入れて歩いているようなものである。

-ハンモック
--これがあれば十分休息できる。
--ハンモックを張る2本オン木を見つけるのは簡単だし、地面に寝なければならないときでもマットレスの代用になる。
--熱帯の山地では雨が多く、地面が濡れていることも多いので、眠るにはハンモックは必要である。
-大きめの防水ナイロン布
--ハンモックの上に紐を1本張り、それにこのナイロン布をかけて、四隅を斜め下にピンと張って屋根にする。こうすればナイロン布は水はけのよい分水線を持ったテントの役割を果たす。
-毛布一枚
--山岳地帯の夜は寒い。気温の急激な変化に耐えるために、ジャケットも必要。
-作業用のズボンとシャツ
--別に軍服要の布地でなくてもよい。
-靴
--できるだけしっかりした作りのもの。
--よい靴がないと行軍は非常に苦しくなるから、靴は予備に備えなければならないほど重要である。
-キャンプ用の皿・ナイフ・フォーク
--皿はキャンプ用でも軍隊用でも、あるいはただの平なべでもよい。
--皿は、肉からマランガ芋、じゃがいもにいたるまで何でも調理することができる。場合によってはお茶やコーヒーをわかすにも使う。
-水筒、水入れ用のビン
--水を飲みたいのに、水を得られないことが多いからである。
-医療品
--用途の広い薬を持つようにする。包装された内服用のペニシリンその他の抗生物質、アスピリンのような解熱剤、風土病の特効薬、マラリア治療用の錠剤、下痢止め用のサルファ剤、各種の寄生虫駆除剤など、要するにその地域にあった薬が必要である。毒を持った動物の住む場所では適当な血清を持つことが望ましい。
--この他外科用危惧をそろえれば、医療品は完全である。
-マッチとライター
--煙草に火を付けるだけでなく、火をおこすためにも使える。
--雨季の森林中では火をおこしにくいので、ライターを使う。
-石けん
--個人的な清潔保持のためだけでなく、食器の洗浄用にも必要。食器を不潔にして奥と、それにくっついた食べ残りが腐敗して、胃腸カタルや中毒の原因になることがよくある。
-磁石
--新しい土地に来た当初は方向を知るのに極めて有用だが、その地方の地理に明るくなるにつれて不要になる。
--山岳地帯では磁石はあまり役に立たない。山では磁石の示す方向には通過困難な障害物が立ちふさがっていることが多いからである。
-予備のナイロン布
--雨降りのとき、色々な装備品を包むのに使える。
--熱帯地方では雨は何日も振り続けるし、食料・弾薬・薬品・紙・衣類といった携帯品を水に塗らすことは禁物だからである。
-着替え
--新米の兵士は着替えをたくさん持ちたがるが、普通は替えのズボン1本だけを持つのがせいぜいで、下着やタオルなどの余分なものは省く。
-歯ブラシ・歯磨き粉
-本
--ゲリラ生活には退屈な時間もある。兵士たちの文化水準を高め、賭博などの好ましくない娯楽への関心を低められる。
--隊員同士で交換して読める。
-小さいノート、ペン・鉛筆
--外部のゲリラ仲間への手紙を書いたりできる。
-紐、ロープ
-衣服用の針・糸・ボタン

 ゲリラ戦士は部隊が携行し、野営地で消費するものの他に、若干の個人用食料をいつも持っていなければならない。

-ラードまたは食肉油
--必須。
--脂肪の補給に必要。
-缶詰食品
--他に食べるものが手に入らないとき、缶詰が多すぎて重さのために行軍の妨げになるようなとき以外には使ってはならない。
-貯蔵加工した魚
--大きな栄養価がある。
-コンデンスミルク
--多量の砂糖を含んでいるので栄養豊か。
--砂糖は塩と並んで不可欠。これなくしては、生活はまったくの拷問のようなものになってしまう。
-美味しいいくつかの甘味料粉
-ミルク

 ゲリラ戦士は戦闘もしなければならないので、銃器の手入れもしなければならない。

-ミシン用機械油
--ライフル銃の手入れに使う。
-布切れ
--銃を絶えず磨くため。
-索杖
--銃身の内部をよく手入れするため。
-弾帯
--事情に応じて、売っているものでも手作りのものでもよいが、一発の弾丸も失わないようによくできたものでなければならない。
--弾丸は戦闘の基本資材であり、これがなければ他に何があってもだめである。だから黄金のように大切にするべきである。

 ゲリラ生活において習慣的な、きわめて重要な慰安は喫煙である。葉巻・両切り・パイプ・煙草なんでもよい。休息時の一服は孤独な兵士にとって何よりの友達である。パイプなら、煙草が欠乏したときに、葉巻でも両切りでも、吸い残りを最後まで活用することができる。

 必要なものを詰め込んでも、ザックにまだ余裕がある場合は、食糧補給が容易かつ確実な地域にいる場合以外は、とにかく食料を詰め込むべきである。

 以上のことを考慮することでザックはかなり重くなるが、困難な戦いの中でも心地よい生活を保障してくれるはずだ。


*ゲリラとスパイ [#dc3fdbcb]

・ゲリラ戦争においても、[[スパイ]]を活用することは有効である。

・スパイは解放軍(ゲリラ側)と関係を持っていることを敵に見破られないように、できる限り中立的に見える人間がよい。

・農民たちの情報は、誇張された内容であることも多いから注意。誇張された情報によって危険の判断を誤るところからくる害は非常に大きい。


*参考文献 [#y0d6dbeb]

-『ゲリラ戦争』エルネスト・チェ・ゲバラ