戦争 の変更点

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*目次 [#e5651aa1]

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*食料採集時代の戦争の原因 [#a841ea12]

　食料採集時代は呪術・宗教は発達しておらず宗教戦争も起こらない。また、食料を採集して暮らしている人々の生活はいくら豊かといってもたかが知れているため、奪いにいくことも奪われることもほとんどない。つまり、経済的な動機による戦争はない。

　こうしたことを踏まえ、食料採集時代の戦争の原因を調べると次の3つが挙げられる。

+殺人への復讐
+女さらいへの復讐
+狩場を侵されることに対する復讐

　アメリカからカナダへかけての北西海岸における食料採集民たちは、盛大な殺し合いをしていたという記録がある。この地帯の人々は、食料採集民としては例外的に豊かな暮らしをしていた。川を産卵のためにさかのぼる[[鮭]]をとって保存食料にして、それを元手にして蓄えを作っていた。彼らの社会には一般の自由民以外にも奴隷がいた。食料採集民としては例外的な社会の仕組みを持っていたため、戦争も大規模だったというわけである。

　縄文時代の村は守りをかためた痕跡がほとんどない（北海道と本州に家の周りに濠をめぐらせた村がいくつか見つかってはいる）。また、縄文人は人を殺すための道具、即ち武器を作らなかった。つまり、彼らが作ったのは狩り道具だけだった。
　さらに、縄文人には殺された人が少数しかいない。5,000ほど見つかっている縄文人骨の中で、殺された証拠を残しているものは10ぐらいしかないという。
　以上のことから、殺人への復讐や女さらいへの復讐として小規模な争いはあっても、大規模な戦争はなかったということがわかる。

*戦争に勝つための方法 [#o684ba55]

　戦争に勝つための方法には次の2つがある。

+集団を大きくすること
+武力を高めること

　集団の基本単位は[[家族]]・血族だが、それだけでは戦いの単位としては小さい。そこで当初は比較的強い血族が他の血族と戦い、勝利を得た後に彼らを支配下に置き、領地や生産手段を奪い、自らの生存を守ったのである。こうして集団の単位が血族から部族、民族、国家というように次第に大きくなり、それに応じて戦争の規模も大きくなってきたわけである。

　しかし、勝つために集団を大きくしていくという集団化の論理には、一方で矛盾も含まれている。集団とは大きくなればなるほど、集団内部の共通性が希薄になっていき、団結力が弱くなる傾向にあるからである。そこで、集団の結束を強めるために、共通のアイデンティティを作る必要がある。その際、歴史的に用いられたのが[[民族]]と[[宗教]]である。民族というのは基本的に血が同じであるし、しきたりや言語も共通しているのが普通なので、アイデンティティが得られやすい。また、宗教も同じ神を信じているという点において、精神的な統一力が強いため、アイデンティティを得られやすい。人類の歴史において、民族や宗教を単位とする戦争が多いのは、こうした理由からである。

[補講]民族や宗教それ自体は、戦争の根本的原因ではない。例えば、[[アメリカ]]は多民族・多宗教国家であるが、国内で民族や宗教による戦争をしていない。　◇




*参考文献 [#vff98a16]

-『岩波ジュニア新書234　遺跡が語る日本人のくらし』

-『学問はどこまでわかっていないか』