このページをはてなブックマークに追加このページを含むはてなブックマーク このページをlivedoor クリップに追加このページを含むlivedoor クリップ
  • 追加された行はこの色です。
  • 削除された行はこの色です。
  • 4つの平方数の和 へ行く。

*目次 [#fcf443b0]

#contents


*ディオフォントスの結果 [#zd2940ad]

 ディオフォントスの『数論』の第4巻の問題29に、次のような問題がある。これは現代風に直したものである。

#divid(s,notice)
[問題]与えられた数nに対して、4つの数xSUB{1};,xSUB{2};,xSUB{3};,xSUB{4};で&mimetex("n = \sum_{i=1}^{4} {x_i}^2 + \sum_{i=1}^4 x_i");となるものを見付けよ。

[解答]n+1を次のように展開できる。

&mimetex("n+1");~
&mimetex("= \sum_{i=1}^{4} {x_i}^2 + \sum_{i=1}^4 x_i + 1");~
&mimetex("= \sum_{i=1}^{4} ({x_i}^2 + x_i + \frac{1}{4})");~
&mimetex("= \sum_{i=1}^{4} (x_i + \frac{1}{2})^2");

一方、n+1を4つの平方数&mimetex("{a_1}^2, {a_2}^2, {a_3}^2, {a_4}^2");の和として表し置いて、次のようにおけばよい。

&mimetex("a_i = x_i + \frac{1}{2}");~
&mimetex("x_i = a_i - \frac{1}{2}");

ディオフォントスはn=12とした。

&mimetex("n+1=12+1=13=4+9=((\frac{8}{5})^2 + (\frac{6}{5})^2) + ((\frac{12}{5})^2 + (\frac{9}{5})^2)");

上記から、13を4つの有理数の2乗の和に表して、以下を得られる。

-&mimetex("x_1 = \frac{8}{5}-\frac{1}{2} = \frac{11}{10}");
-&mimetex("x_2 = \frac{6}{5}-\frac{1}{2} = \frac{7}{10}");
-&mimetex("x_3 = \frac{12}{5}-\frac{1}{2} = \frac{19}{10}");
-&mimetex("x_4 = \frac{9}{5}-\frac{1}{2} = \frac{13}{10}");

なお、上記のように13を4つの有理数の2乗の和に分解する代わりに、13=2SUP{2};+2SUP{2};+2SUP{2};+1SUP{2};と合わせば次の解を得る。

&mimetex("x_1 = 2 - \frac{1}{2} = \frac{3}{2}");
&mimetex("x_2 = 2 - \frac{1}{2} = \frac{3}{2}");
&mimetex("x_3 = 2 - \frac{1}{2} = \frac{3}{2}");
&mimetex("x_4 = 1 - \frac{1}{2} = \frac{1}{2}");

◇
#divid(e,notice)

#divid(s,notice)
[補講]ディオフォントスの『数論』の第5巻の問題14においても、与えられた数を4つの平方数の和として書いている。 ◇
#divid(e,notice)

*4平方和 [#s0dbf26a]

#divid(s,thorem)
[定理]すべての自然数は4つの平方数の和として表される。
#divid(e,thorem)

-ディオフォントスはこの定理を当然であるかのごとく書いている。
-バシェは325までの自然数を4平方和で書き、いかなる自然数でもそのように書けることを予想した。
-フェルマーはこの予想の証明を得たが、これについては別にきちんと書くつもりだという注釈を残したが、結局その証明は発表されなかった。
-オイラーはすべての自然数が4つの有理数の2乗の和であることまでは示したが、完全な解答までは至らなかった。
-ラグランジュはオイラーの結果を土台にして、1772年に完全に証明した。
-その翌年に、オイラーはより簡単な証明を得た。
--オイラーがこの問題に初めて手を付けてから25年後のことである。

 平方数に0SUP{2};も入れて数えている。もし、0SUP{2};が平方数としないならば、「4つの平方数」ということろを「高々4つの平方数」と変えなけらばならない。

#divid(s,proof)
[証明](オイラー)

[[オイラーの恒等式]]が成り立つため、4平方和の積は4平方和になる。~
後は、すべての素数が4平方和になることを示せばよい(自然数は素数の積であるため)。

[1]素数2の場合、1SUP{2};+1SUP{2};+0SUP{2};+0SUP{2};と書ける。

[2]奇数の素数の場合

pを奇数の素数として、次の2つの集合を考える。

-&mimetex("S= \{ 0^2,1^2,2^2,3^2,\cdots,(\frac{p-1}{2})^2 \}");
-&mimetex("T= \{ -1-0^2,-1-1^2,-1-2^2,-1-3^2,\cdots,-1-(\frac{p-1}{2})^2\}");

まず、Sに含まれる2つの数xSUP{2};とySUP{2};が、pを法として合同とならないことを示す。~
ここで、x>yとしても一般性は失われない。~
つまり、pを法として合同にならないなら、xSUP{2};-ySUP{2};=(x+y)(x-y)はpで割り切れないことを示す。

&mimetex("0 \le y < x < \frac{p-1}{2}");だから、0<x+y,x-y≦p-1である。~
よって、x+yもx-yもpでは割り切れない。~
つまり、xSUP{2};-ySUP{2};もpで割り切れない。

次に、Tに含まれる2つの数-1-xSUP{2};,-1-ySUP{2};も同様の理由で、pを法として合同とならない。

一方、どんな整数もpを法として、0,1,…,p-1のどれかに合同である。~
即ち、pを法とした合同類の数はp個である。~
そのため、集合SとTを合わせるとp+1個の元があるから、同じ合同類に入る元がSとTにあることになる。

よって、xSUP{2};∈S,-1-ySUP{2};∈Tで、pを法として合同になる値、即ち次を満たす値が存在する。

&mimetex("x^2 \equiv -1-y^2 \, \pmod{p}, (0 \le x,y \le \frac{p-1}{2})");

(例えば、p=7とする。S={0,1,4,9},T={-1,-2,-5,-10}で、SとTの両方に存在する値は、4≡-10 (mod 7)と9≡-5 (mod 7)の2組ある。

上記の式を書き直すと、次のようになる。

&mimetex("x^2 + y^2 + 1^2 + 0^2 \equiv 0 \, \pmod{p}");

これは左辺がpの倍数kpに等しいということを意味する。

さらに、次の大小関係が成り立つ。

&mimetex("x^2 + y^2 + 1^2 + 0^2 \le (\frac{p-1}{2})^2 + \frac{p-1}{2})^2 + 1=\frac{(p-1)^2}{2} + 1 < p^2 \, \pmod{p}");

よって、k<pである。

xSUB{1};=x,xSUB{2};=y,xSUB{3};=1,xSUB{4};=0が次の方程式の解であることがわかる。

&mimetex("{x_1}^2 + {x_2}^2 + {x_3}^2 + {x_4}^2 =kp"); ←(*)

[1]k=1の場合は明らかに成り立つ。

[2]k>1として、kを小さくすることを試みる。

(i)kが偶数の場合

(*)の左辺が偶数でなければならないから、以下の3つの場合のどれかになる。

-(a)xSUB{1};,xSUB{2};,xSUB{3};,xSUB{4};がすべて偶数
-(b)xSUB{1};,xSUB{2};,xSUB{3};,xSUB{4};がすべて奇数
-(c)xSUB{1};,xSUB{2};,xSUB{3};,xSUB{4};のうちが偶数で、2つが奇数

(c)の場合、順番を適当にとれば、xSUB{1};,xSUB{2};が偶数、xSUB{3};,xSUB{4};が奇数としてよい。

そうすれば、すべての場合に、&mimetex("\frac{x_1+x_2}{2},\frac{x_1-x_2}{2},\frac{x_3+x_4}{2},\frac{x_3-x_4}{2}");が整数である。

(*)の両辺を2で割ると、次のように書ける。

&mimetex("\frac{{x_1}^2 + {x_2}^2 + {x_3}^2 + {x_4}^2}{2} =\frac{k}{2}p");~
&mimetex("(\frac{x_1+x_2}{2})^2+(\frac{x_1-x_2}{2})^2+(\frac{x_3+x_4}{2})^2+(\frac{x_3-x_4}{2})^2 =\frac{k}{2}p");

これで、kをk/2に置き換えたときの(*)の解を得る。

(ii)kが奇数の場合

xSUB{i};を次のようなySUB{i};で置き換える。

&mimetex("x_i \equiv y_i \, \pmod{k}, |y_i| < \frac{k}{2}");

(xSUB{i};をkで割った余りがk/2より小さければそれをySUB{i};、大きければそれからkを引いたものをySUB{i};とすればよい)

そうすると、次のように展開できる。

&mimetex("{y_1}^2 + {y_2}^2 + {y_3}^2 + {y_4}^2");~
&mimetex("\equiv {x_1}^2 + {x_2}^2 + {x_3}^2 + {x_4}^2 \, \pmod{k}");~
&mimetex("\equiv 0 \, \pmod{k}"); (∵(*))

よって、&mimetex("\sum_{i=0}^{4} {y_i}^2");はkの倍数、即ち次が成り立つ。

&mimetex("{x_1}^2 + {x_2}^2 + {x_3}^2 + {x_4}^2=k'k"); ←(**)

&mimetex("|y_i|<\frac{k}{2}");だから、&mimetex("\sum_{i=0}^{4} {y_i}^2 < k^2");~
よって、k'<kである。

[[オイラーの恒等式]]をそのまま使えば、(*)と(**)から次が成り立つ。

&mimetex("{z_1}^2 + {z_2}^2 + {z_3}^2 + {z_4}^2 = ({x_1}^2 + {x_2}^2 + {x_3}^2 + {x_4}^2)({y_1}^2 + {y_2}^2 + {y_3}^2 + {y_4}^2)=k^2 k' p"); ←(***)

一方、&mimetex("x_i \equiv y_i \, \pmod{k}");だから、次が成り立つ。

-&mimetex("z_1=x_1y_1+x_2y_2+x_3y_3+x_4y_4 \equiv {x_1}^2 + {x_2}^2 + {x_3}^2 + {x_4}^2 \equiv 0 \, \pmod{k}");
-&mimetex("z_2=x_1y_2-x_2y_1+x_3y_4-x_4y_3 \equiv x_1x_2 -x_2x_1 + x_3x_4 - x_4x_3 \equiv 0  \, \pmod{k}");-&mimetex("z_3 = x_1 y_3 + x_2 y_4 - x_3 y_1 + x_4 y_2 \equiv x_1 x_3 + x_2 x_4 -x_3 x_1+x_4x_2 \equiv 0  \, \pmod{k}");
-&mimetex("z_2=x_1y_2-x_2y_1+x_3y_4-x_4y_3 \equiv x_1x_2 -x_2x_1 + x_3x_4 - x_4x_3 \equiv 0  \, \pmod{k}");
-&mimetex("z_3 = x_1 y_3 + x_2 y_4 - x_3 y_1 + x_4 y_2 \equiv x_1 x_3 + x_2 x_4 -x_3 x_1+x_4x_2 \equiv 0  \, \pmod{k}");
-&mimetex("z_4 = x_1 y_4 + x_2 y_3 - x_3 y_2 - x_4 y_1 \equiv x_1x_4 + x_2x_3 -x_3x_2 - x_4x_1 \equiv 0  \, \pmod{k}");

よって、zSUB{1};,zSUB{2};,zSUB{3};,zSUB{4};はすべてkで割り切れる。

そこで、(***)をkSUP{2};で割ると次が得られる。

&mimetex("(\frac{z_1}{k})^2 + (\frac{z_2}{k})^2 + (\frac{z_3}{k})^2 + (\frac{z_4}{k})^2 =k'p");

これで、(*)のkよりも小さいk'に対して、解を得たことになる。

このように、(*)のkを次第に小さくして、1に到達するまで続ければよい。 □
#divid(e,proof)

#divid(s,proof)
[証明][定理]「いかなる自然数も高々n個の[[n角数]]の和として表される」において、n=4を適用する。 □
[別証][定理]「いかなる自然数も高々n個の[[n角数]]の和として表される」において、n=4を適用する。 □
#divid(e,proof)

*参考文献 [#j942b154]

-『なっとくするオイラーとフェルマー』